不安と恐怖のメカニズム

みなさん、こんにちは。

誰もが人生で一度は経験する「不安」と「恐怖」。日常生活で感じる程度のものから、日常生活に支障をきたすほど深刻なものまで、その程度は様々です。

寒い季節、人は不安や恐怖を感じることが多くなります。

カウンセリングにもそのような訴えが多く見られます。

私は、悩み苦しみというのは、まず相手(不安、恐怖)を理解、分析することが治癒への近道だと考えいます。

なので、不安、恐怖とは何のか?

何がどうなっているから、私は不安や恐怖を感じるのか?というところをお伝えしてみたいと思います。

1. 不安と恐怖の違い:漠然とした心配と明確な恐れ

不安と恐怖は似た感情ですが、その性質には違いがあります。

  • 不安: 何が起こるかわからない、漠然とした心配や緊張感。対象が特定されていないことが多いです。「将来が不安」「なんだか落ち着かない」といった感情がこれに当たります。
  • 恐怖: 特定の対象や状況に対する明確な恐れ。「高いところが怖い」「クモが怖い」など、何に対して怖いのかがはっきりしています。

2. 脳内での情報処理:感情の司令塔たち

不安や恐怖を感じる時、脳内の様々な部位が連携して働いています。特に重要なのは以下の部位です。

  • 扁桃体(へんとうたい): 「感情の中枢」とも呼ばれ、危険を察知する役割を担っています。過去の経験と照らし合わせ、「これは危ない!」と判断すると、体に様々な反応を起こすよう指令を出します。例えるなら「火災報知器」のような存在です。
  • 海馬(かいば): 記憶を司る部位で、過去の経験や学習した情報を保管しています。扁桃体は海馬からの情報を受け取り、危険かどうかを判断します。「過去に同じような状況で怖い思いをした」という記憶があると、扁桃体はより強く反応します。
  • 前頭前皮質(ぜんとうぜんひしつ): 理性や思考を司る部位で、扁桃体の活動をコントロールする役割を持っています。「これは本当に危険なのか?」「大したことない」と判断し、扁桃体の過剰な反応を抑えようとします。例えるなら「冷静な大人」です。
  • 視床下部(ししょうかぶ): 自律神経系をコントロールする部位で、扁桃体の興奮に応じて、心拍数の上昇、呼吸の速まり、発汗など、体の様々な反応を引き起こします。

3. 不安のメカニズム:火災報知器の軽い誤作動

不安を感じる時、扁桃体は「何か良くないことが起こるかもしれない」と察知し、軽く興奮します。しかし、前頭前皮質が「まだ大丈夫だよ」と落ち着かせるため、強い恐怖を感じるまでには至りません。これが、漠然とした不安感として感じられます。

4. 恐怖のメカニズム:火災報知器の大音量アラーム

恐怖を感じる時、扁桃体は「大変だ!危険だ!」と大興奮します。過去の怖い経験と結びつくと、さらに大きなアラームが鳴り響きます。その結果、心臓がドキドキしたり、呼吸が速くなったり、体が震えたりといった身体的な反応が現れます。これは、危険から身を守るための体の自然な反応です。

5. パニック発作:警報の誤作動と予期不安

パニック発作は、何の前触れもなく突然、激しい動悸、息苦しさ、めまい、吐き気などの強い恐怖を感じる発作です。これは、扁桃体が誤作動を起こし、実際には危険がない状況で過剰に反応してしまうために起こります。

パニック発作を経験すると、「またあの発作が起きたらどうしよう…」という強い不安、つまり「予期不安」を感じるようになります。

これは、海馬が過去の発作の記憶を鮮明に覚えているため、扁桃体が常に警戒態勢をとってしまうからです。予期不安が強くなると、発作が起きた場所や状況を避ける「回避行動」をとるようになることもあります。

6. ストレスと不安・恐怖:悪循環の始まり

ストレスは、扁桃体の活動を活発化させ、前頭前皮質の機能を低下させる可能性があります。 つまり、ストレスが溜まっている状態では、扁桃体が過剰に反応しやすく、前頭前皮質がそれをうまくコントロールできなくなるため、不安や恐怖を感じやすくなります。

先ずは自分自身の状況に👆を照らし合わせてみて、今、私は、ストレスで過剰反応しているのだ、と、受け入れてください。

次回は、対処方法についてです。

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